NOTO-NO-NOTE事例紹介/コラム

組版とは? 印刷物をキレイに読みやすく品質を高くするために欠かせないもの!

  • 2024年1月19日
  • 一般印刷
  • 出版
  • 社史・記念誌

組版サムネ

社史や記念誌、報告書、シーズ集や論文集、書籍など・・・。印刷物のほとんどには文章や写真が入っていますが、皆様が当たり前のように読んでいる印刷物には、実は読みやすいように誌面の組み方(レイアウト)に一工夫施されていることをご存知でしょうか?

印刷物制作の工程とは?

例えばひとつの印刷物を制作するにあたってのおおまかな工程は以下のようになります。

・打ち合わせ (お客様が印刷物に取り入れたいご要望や仕様をヒアリング)

・企画、原稿作成、編集作業

・原稿、画像データ入稿

・組版、DTP作業(制作)

・画像補正

・校正確認、修正(誌面に抜け漏れや間違いがないか確認)

・印刷、製本

完成!

誌面の見やすさや品質に関わり、レイアウト構成を決めるのは「組版、DTP作業(制作)」の工程です。

記念誌

印刷物の制作に多い課題やお悩み

企業様や自治体様など、何かと印刷物を制作する機会があるかと思いますが、よく下記のような声やお悩みをお聞きします。

・原稿通り文字は組まれているが、もう少し表記を統一したかった・・・
・著者毎で文字の表記や体裁にバラツキがある。一冊の本で統一したい・・・
・フォントの大きさや色味がイメージと違う・・・
・修正がないところがなぜか変わっていた・・・
・定期的に発注しているが体裁が前回と変わってしまった・・・
・校正漏れ、間違いがないか、自分たちだけの確認では不安・・・

せっかく制作するなら、読みやすく伝わりやすい、高品質な印刷物に仕上げたいですよね。そんなお悩みを丸ごと解決するのが、「組版」のチカラです!

今回は意外と知られていない、高品質な印刷物をつくるにあたって重要な工程である「組版」について、分かりやすく解説いたします!

組版とは?

組版とは、印刷物の誌面において原稿やデザインの指定に従い、文字や図を組んでレイアウト(配置)する印刷の工程作業のことをいいます。もともとは活版印刷の用語で、活字を組み合わせて版を作成することを表す言葉が現代に受け継がれています。

さらに細かく説明すると、例えば文字と文字、行の間隔や幅などを細かく調整したり、文字の全角・半角の統一や、漢字につける読み仮名(ルビ)の調節など、文字を組むだけでもたくさんのルールがあります。

書籍や冊子のクオリティー、読みやすさや雰囲気、情報の伝わりやすさを大きく左右するのはこの「組版」と言われており、重要な工程のひとつとなるのです。

組版

組版と編集のちがいとは?

印刷物の品質を上げる作業には、「組版」のほかに「編集」があります。この「編集」とは、どのような違いがあるのでしょうか?

「組版」は誌面のレイアウトや配置で読みやすさを向上させる、いわゆる「見た目」を整える作業です。それに対して「編集」は、読み手がさらに内容を理解しやすく、伝わりやすくするために情報を取捨選択し、整理してまとめる作業のことをいいます。すなわち「編集」は「中身」を整える作業なので、まったくの別物といえます。

印刷物制作の際、「中身」に目を向けられがちですが、「見た目」や「読みやすさ」は次を読みたいと思えるかにかなり影響を与えます。つまり、「組版」をおろそかにすると、非常にもったいないのです。なぜなら、いくら内容が良くても、読んでもらえなければ評価してもらえないからです。

組版とDTPのちがいとは?

また、「組版」と「DTP」という単語も印刷物制作においてよく耳にするかと思いますが、この2つのちがいは何でしょうか?

DTP」は「デスクトップパブリッシング」の略で、パソコンを使用して印刷用のデータを作成することや、作成した印刷データを出力するまでの大きなくくりの工程のことをいいます。対して「組版」は、DTP」の作業に含まれるひとつの工程のことで、文字を組んでレイアウト配置をする作業そのもののことをいいます。

DTPが普及する前は、デザイナーがデザインを行い、そのデザインをもとに写真や原稿を用意。「版下」と呼ばれる製版用の原稿を制作し、「版」という印刷時に使用するハンコのようなものに起こして印刷をしていました。いわゆる多くの工程を、多くの人で分担して作業する必要がありました。

しかしパソコンが普及し、いわゆるDTP製版が主流になると、パソコンひとつでデザインから「版下」まで、組版、写真や原稿の準備などをすべてデジタルで簡単にできるようになりました。これにより、印刷物の制作が効率的になったと言われています。

組版

組版活用をおすすめする印刷物

組版を活用して、よく制作されている印刷物とはどんなものかをご紹介いたします。

紀要・学術論文

「紀要」は、大学や短期大学などの教育機関や、各種の研究所・博物館などが定期的に発行する学術雑誌です。論文や研究の記録が書き綴られており、読みやすく、研究内容の理解を深めやすくするために組版の力が発揮されます。

社史・記念誌

「社史」は企業や団体が歴史をまとめたもので、「記念誌」は周年記念の節目やイベントごとの際に記念して出版されるものです。この2つは長期間保存されることが多く、後世に伝えていく重要な資料となるため、見た目や伝わりやすさが大切になります。

書籍

小説や文庫本などの書籍はさらに組版が重要になってきます。それは他の印刷物よりも画像が使われる頻度が少なく、文字が羅列するため読みやすさが最も問われるからです。読者が本を読み進めたくなるか否かを、組版は握っています。個人の方や組合の方など、多くの方からご相談をいただきます。

会社案内

会社案内は、企業が自分の会社を知らない人に向けて、事業内容や魅力を周知させるためのパンフレットです。会社案内は第一印象が重視されるため、魅力をお客様に伝えるためにはぱっと見の見た目の綺麗さを怠ってはいけません。こちらは企業の広報の方からよくご相談をいただきます。

その他、

・卒業文集
・調査報告書
・広報誌
・シーズ集
・図録
・社内報

などなど・・・

様々な用途や媒体で、組版による「読みやすさ」や「分かりやすさ」を発揮しています。

上記の印刷物を検討されている方は、組版の十分な体制を整えている弊社・ナレッジクライマー(能登印刷)までご相談ください。

組版で使われる主なソフトは?

ではここで、組版で使われる主なソフトをご紹介します。

Adobe InDesign

組版のソフトといえば、やはり「InDesign」です。文字を組むための機能が揃っており、基本はこのソフトを使用します。Wordなどのワープロソフトとは違い、新聞紙や雑誌の誌面などのページでどう組まれているかを画面上で確認しながら、細かい行間や文字の大きさなどを設定し組んでいくことができます。

Adobe Illustrator

ふつうはデザイン等によく使われる「Illustrator」ですが、実は組版の際にも使用することがあります。「InDesign」が数ページにわたるページものを組版する際によく使われるのに対して、「Illustrator」はチラシやポスターなどのペラものを組版する際に使われることが多いです。また、「Illustrator」」は図版や表、グラフなどを作ることに適しているため、「InDesign」で文字を組んだ後、「Illustrator」で作成した図や表を入れ込むといったこともよく行われます。

組版で意識されているポイント

では、組版で美しく伝わりやすい印刷物を生み出すために意識されているポイントはどんなものがあるのか見てみましょう!

フォントの種類

制作する媒体によって、フォントの種類をしっかりと選定しイメージを固める必要があります。小説や専門書など、しっかりとした書籍などであれば、一般的に明朝体を用いられます。反対に明るいイメージのパンフレットや、ポップなデザインのチラシなどは、丸いフォントや洋風のフォント、個性的なフォントなど、その都度イメージに合わせて用います。

組版

文字の大きさ

文字の大きさも、印刷物を制作する際にかなり重要なポイントとなってきます。フォントの統一だけでなく、文字の大きさを統一することが基本です。見出しは大見出しや中見出し、小見出しなどの種類に合わせて、誌面全体とのバランスを見ながら文字の大きさを決めていきます。

見出しの大きさによって内容がひと目で頭に入るかや、分かりやすさに大きく影響してきますので、特にイメージを固めておく必要があります。

行間や字間のバランス

本文と本文の行間や、1文字1文字の字間がバラバラだと、どこか違和感がありとても読みづらい書物になってしまいます。また、統一されていても行間や字間が詰まりすぎていたり、逆に開きすぎているのもバランスが非常に悪くなってしまいます。

フォントの種類や文字の大きさによっても適切な行間や字間が変わってきます。

組版のルールをご紹介!

ここで、組版の作業をする際に実際に決められているルールの一部をご紹介いたします。

学術論文や研究報告書など、一誌が複数の原稿で構成されている場合は、まずは統一ルールを決めていきます。

「禁則処理」「句読点の選択」「タイトルや見出しのサイズ」「注番号や参考文献の表記」など・・・。それらのルールをどのように、どこまで統一するか。そのひと手間で驚くほど見た目が良く、読むことに集中できる書籍が完成します。

・書籍ごとに必要な組版ルールを見極め、文字を整えていく

たて組み・よこ組みそれぞれに特有のルールがあります。

組版

・同じ要素で揃える

複数の書籍を「まとまりのある一冊」にする場合、統一事項や表記のルールがあるため、それに沿って揃えていきます。

組版

そのほかにも、「ルビ」と呼ばれる読み仮名を付ける場合や、たて組みにおける英単語の表記方法など、細かな部分にルールが設けられています。

▶ 組版のルールについて詳しくはコチラでご紹介しています。

自動組版とは?

皆さん、「自動組版」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?「自動組版」とは、手作業で行っていた組版作業を効率化したりミスを防ぐために、システムによって文字を自動で組むことを言います。テンプレートとなるレイアウトにデータや原稿を流し込み、自動的に印刷データを作成します。

自動組版のメリットとデメリットは以下のものがあります。

自動組版のメリット

・作業の時間短縮ができ、業務の効率化につながる
・ページ数が多い印刷物ではコストを抑えて制作することができる
・元データから繰り返しデータを作成・修正ができる
・作業する人によって誌面が違うといったことを防ぎ、イメージを統一することができる
・Webサイトや電子書籍などへ展開しやすくなる
・組版作業でのミスを削減できる

自動組版のデメリット

・システム構築が必要になってくるため、導入に時間がかかる
・複雑なレイアウトや細かい条件のある制作物には対応が難しい

⬇︎「自動組版」について詳しくはこちらのコラムをご覧ください

▶ 弊社・ナレッジクライマー(能登印刷)の組版について詳しくはコチラ

組版の活用事例は?

弊社・ナレッジクライマー(能登印刷)でお手伝いさせていただいた組版の事例を、いくつかご紹介いたします。

神戸大学 様 神戸法学雑誌 第73巻 第3号

神戸法学雑誌

神戸法学雑誌

本文のフォントには多言語に対応できるよう、半角欧文に欧文フォント(Times New Roman)を登録した合成フォントを使用しました。欧文フォントは和文フォントに比べてやや小さめにできているため、和文フォントの中に欧文が挿入されても違和感がないよう、フォントサイズやベースラインを調整した合成フォントを論文用に作成しています。

【当社オペレーターの声】

・号をまたいで続く長編の論文があり、体裁や文字の表記が前回と変わらないよう記録を残しています。
・論文毎に特化したルール(表記や体裁の統一など)を記録に残し、担当オペレータが変更しても品質を保つようにしています。神戸法学雑誌は能登印刷が担当してから10年になりますが、開始から変わらずこの記録は続けています。

☟詳しい制作実績ページはこちら
https://www.notoinsatu.co.jp/works/6323162/

神戸大学 様 六甲台論集 第70巻 第1号

六甲台論集 六甲台論集

Word上で使用されている「ボールド(太字)」、「イタリック」、「脚注」等、数多くの属性が使用されていることから、弊社独自のシステムでテキスト管理を行うことで、漏れがなく、また効率的に作業しました。

【当社オペレーターの声】

修正指示の通りに文章を変更した結果、明らかに文章の繋がりが不自然な箇所が複数見つかり、校正時に「作業報告書」にて発信させていただきました。このように修正したことによる疑問点等は、こちらで気づいた範囲に限りますが発信させていただいております。

☟詳しい制作実績ページはこちら
https://www.notoinsatu.co.jp/works/6323168/

組版で印刷物の品質を向上させるお手伝いをいたします

弊社・ナレッジクライマー(能登印刷)は、中小企業の中でも大きな規模のDTP・制作部門を携えており、部門総勢37名と人員が多く、迅速な対応が可能であることが特長です。

万全な体制で誌面の制作・組版を行っており、クオリティーの高い印刷物制作のお手伝いをさせていただいております。

また、組版だけでなく画像処理にも専任者がおり、美術館の図録やカタログ等といった、高品質が要求される画像処理にもしっかりと対応いたします。

読みやすく美しい書籍や冊子をつくりたい方、文字組版に強い会社をお探しの方、文字組版の品質・短納期を求める方は、弊社HPお問い合わせフォームより、ぜひお気軽にご相談ください。

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▶ 弊社・ナレッジクライマー(能登印刷)の組版について詳しくはコチラ

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