NOTO-NO-NOTE事例紹介/コラム

大きな絵図もそのままスキャンOK。高精細デジタル化で幅広い活用が実現│石川県金沢城調査研究所 様

  • 2023年1月31日
  • デジタルアーカイブ
  • 高精細印刷

スキャン_のとのお仕事

美術館・博物館をはじめ様々な場所で親しまれている絵画や文化財。それらには、展示して普及していくという大きな役割があります。

原本の展示や使用を続けていると、どうしても傷みは増えていきますし、だからといって、眠らせたままにしておくと、多くの人に届くことなく「宝の持ち腐れ」になってしまいます。

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絵画や文化財、それに関わる資料を、高品質なままで残し、活用していきたい。そんな時に検討したいのが 「いつでも、どこでも、だれでも閲覧できて、原本も綺麗に保管しておける<デジタルアーカイブ>ですが、大きなサイズの資料や絵画は一般的なスキャナで対応できないことに加え、貴重な資料となると、デジタル化するまでの工程で破損してしまうことを恐れ、なかなか手を出しにくいといったこともあるのではないでしょうか。

そこで今回は、そのような不安を払拭していただくため、「石川県金沢城調査研究所」様の、歴史的にも貴重な絵図史料を、大きなサイズのものまで精密にスキャンし、デジタル化を行うことで原寸サイズで再現し、原物の雰囲気をもった「絵図」を制作させていただいた事例をご紹介いたします。

非接触型のフェイスアップスキャナを駆使して、
デジタル化だけでなく高品質な複製絵図も作成!

今回お手伝いさせていただいた「石川県金沢城調査研究所」様は、平成13年7月、石川県教育委員会事務局文化財課内の「金沢城研究調査室」から改組した、本格的な金沢城の調査・研究をされている機関です。

金沢城についての文献・絵画史料や伝統技術資料の調査研究、基礎データの整理・収集、金沢城に関する情報発信などの事業を通し、金沢城の学術的価値と特徴を明らかにし、県民と一体になった保存と活用を図っています。

その調査・研究のため、弊社・能登印刷(ナレッジクライマー)では、図書館・博物館などに保管された資料のデジタル化業務を十数年前から継続的にお手伝いさせていただいており、以前は資料を複写撮影したポジフィルムのスキャン業務を中心に行っていました。※ 複写撮影とは、スキャナーのように平面の絵などをそのまま写真に撮ること

そんな石川県金沢城調査研究所 様の近年のお悩みは「フィルムの製造中止という流れの中で、まだ撮影されていない史料をどのように高精細でデジタル化していくか」ということ。というのも、

  • 一般のスキャナではスキャンできない大きなサイズのものもある。
  • 一般的なスキャン方法では歴史的な史料が破損する恐れがある。

といった懸念があったからです。

そこで、能登印刷(ナレッジクライマー)が提案したのは、弊社が所有する貴重な本や美術資料にも対応が可能な非接触型のフェイスアップスキャナ「Fine Scamera A-1」を用いてのデジタル化

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非接触フェイスアップスキャナ「Fine Scamera A-1」

このスキャナの特長は、

  • 1回のスキャニング可能な最大サイズが600mm×841mmとなり、大きな
    サイズの原稿にも対応している。
  • 600dpiという高い光学解像度で、原稿の凹凸・陰影やマチエール(絵肌)
    まで精密に3Dスキャンができ、油絵・水彩、版画や古地図など、貴重品
    のデジタル化・レプリカ作成に最適。
  • 本を断裁するなど原本を破壊することなくスキャンができる。
  • 原稿台に上向きで資料をセットし、スキャン面の状態を確認しながら作業
    を行うことができる。

といった大きなサイズのものでも非接触・非破壊で高品質にスキャンできるという点です。

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☝ 実際のスキャンの様子

スキャン業務の際は、「石川県金沢城調査研究所」様や、資料の所蔵機関である図書館・博物館のご担当の方々の立ち会いのもと、原稿状態の確認を行い、データ化する範囲や欠損部分の再現方法などを詳細に確認を重ねました。

最大600mm×841mmを超える資料の場合には、サイズに応じた分割スキャンを行い、スキャンした後に1枚の高解像度の画像データに統合。この方法を使えば、分割したあとでもつなぎ目が分からないような精細な合成が可能なため、大きなものでも1枚にすることが可能となります。

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☝ 画像処理の様子

また、同時に、展示などで活用するため「原寸サイズの複製を作成したい」といったご相談もいただきました。

弊社では、質感のリアルな再現度を得意とするスキャナ「Fine Scamera A-1」とインクジェット印刷を用いた「ハイファイン・ジクレ」という絵画の複製画作成のサービスも行っております。そこで、この「ハイファイン・ジクレ」の技術を応用した、和紙による複製絵図の作成をご提案。

細かい部分の質や陰影を完全再現した画像を、和紙にインクジェット印刷で出力することで、結果、本物と瓜二つな「絵図」の再現に成功。このことにより、いつでも閲覧が可能となり、いろいろな機会に展示して活用することで、気軽に絵図について理解を深めることができるようになりました。

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☝絵図を出力している様子

最終的にお客様である「石川県金沢城調査研究所」様からは、

絵図の質感の再現や詳細な部分の出来など、
非常に精巧につくられている

と喜びの声をいただくことができました。

作成した「絵図」は行事・イベントなどでご活用いただいており、直近では加賀本多博物館での秋季特別展などで展示していただきました。

このように、弊社・能登印刷(ナレッジクライマー)では、例え「大きなサイズ」でも、「高品質」なまま「原本を破壊せず」、といったお客様のご要望をできるだけ叶えるデジタル化を可能にいたします。また、「展示などで活用したい」といったご要望にも、質感や凹凸を完全に再現した、そのまま展示できるほど高精細な複製レプリカの作成によって「原本を傷めることなく活用」することが可能となります。

さらに弊社では、「電子化文書の長期保存方法」に関する規格であるJIS Z 6017に準拠した光データディスクを作成。歴史的・文化財資料、公文書・行政文書、論文・研究データ、映像・写真など、長期保存が必要である貴重な資料にも安心してご使用いただけます。

デジタル化についてはもちろん、データ化した後の保存・保管についてのお悩み、絵図や資料の活用についてのお悩みなど、どんなことでも結構ですので、まずはお気軽にお問い合わせください!

デジタルアーカイブのご提案

デジタルアーカイブのご提案

営業:柿本紅葉(能登印刷 カスタマーサクセス北陸本部)
制作:向江幸子(能登印刷 制作部 文書情報管理士)
クライアント:金沢城調査研究所 様
※ 会社名・部署名などは取材および記事制作当時のものになります。

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